日本外科系連合学会誌
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65歳以上の高齢者大腸癌症例の検討
村野 明彦勝又 健次尾形 高士永川 祐一森脇 良太山下 晋矢山本 啓一郎青木 達哉小柳 泰久
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1999 年 24 巻 5 号 p. 755-760

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抄録

高齢者大腸癌を定義するためにD2, D3郭清を行った65歳以上の大腸癌症例の臨床病理学的因子, 術前後合併症, 予後を検討した。初回待期手術症例で65歳以上のD2以上の郭清を行った大腸癌患者92例を対象とし, A群 (65-74歳;n=59), B群 (75-87歳;n=33) を検討した。臨床病理学的に StageIVと根治度C症例は各々A群 (8.5%, 8.2%) に比べB群 (33.3%, 24.2%) で有意に多く, 術前合併症は%VCが80%未満, 24時間Ccrが70ml/dl未満の症例は各々B群 (24.1%, 88.5%) でA群 (1.7%, 37.5%) に比べ有意に多かった。術後合併症は, 不穏がB群 (36.4%) でA群 (8.5%) に比べ有意に多いが縫合不全等に差はなかった。5年生存率は両群間の根治度A症例で差がなく, 術中出血量, 手術時間, 平均術後在院期間, 平均離床期間も各群間で有意差は無かった。以上, D2, D3郭清をした65歳以上の治癒切除症例で両群間の5年生存率に有意差が無いため, 高齢者に治癒切除を行うべきであり, また, 75歳以上を高齢者とするのが妥当と思われた。

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