日本外科系連合学会誌
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併存した後腹膜脂肪肉腫に浸潤をきたした退形成性膵管癌の1例
上田 順彦
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2000 年 25 巻 1 号 p. 110-113

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抄録
併存した後腹膜脂肪肉腫に浸潤をきたした退形成性膵管癌の1例を報告した。症例は65歳, 女性。主訴は心窩部痛。腹部CT検査では膵体尾部に大きさ約11×9×6cm, 境界不明瞭で内部は不均一に造影される腫瘍を認めた。また膵腫瘍の背側の後腹膜には, 隔壁を有し内部にわずかな網状構造を伴うfat densityの領域を認めた。退形成性膵管癌と診断し開腹したが, 高度な腹膜播腫のため試験開腹となり, 術後20日目に癌死した。剖検所見では膵体尾部の腫瘍は周囲の臓器および膵腫瘍の背側に存在した長径約15cmの黄色の結節状の腫瘍と一塊となっていた。膵腫瘍は肉腫様の異型の強い紡錘形細胞が主体をなし, 一部には異型細胞による腺管形成も認められ, 退形成性膵管癌の紡錘形細胞型と診断された。一方, 後腹膜の腫瘍は脂肪肉腫のwell differentiated typeと診断された。両腫瘍の境界部では膵の腫瘍細胞が脂肪肉腫内に浸潤している像がみられた。
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