日本外科系連合学会誌
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術後門脈血栓症に対する門脈内ステント留置
塚本 忠司広橋 一裕久保 正二田中 宏首藤 太一檜垣 一行竹村 茂一山本 隆嗣木下 博明
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キーワード: 門脈血栓症, ステント
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2000 年 25 巻 4 号 p. 692-696

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抄録
術後急性門脈血栓症に対する門脈内ステント留置は, 肝移植例での報告が散見されるが, 膵頭十二指腸切除術や肝切除術後では報告がない。症例1 : 67歳, 男性。他院にて膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除・右肝動脈および門脈合併切除再建術が行われた。術2日後, 再建門脈および動脈の閉塞を認め多臓器不全に陥り, 術11日後当科紹介転院した。術15日後, 門脈閉塞に対しステント留置を行いその後良好な門脈血流が得られたが, 多臓器不全から脱しえず, ステント留置26日後死亡した。症例2 : 62歳, 男性。肝門部胆管癌に対し肝右3区域切除・尾状葉全切除が行われた。術直後より肝不全兆候を認め, 術後門脈血栓症の診断のもと術後5, 10, 17日にいずれも開腹下に血栓除去術が行われ, 持続的に血栓溶解剤が投与がされた。術後17日には門脈内にステントが留置されたが, ステント留置後も門脈内血流は乏しく, 初回手術22日後肝不全により死亡した。
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