日本外科系連合学会誌
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特発性腹直筋血腫の1例
白倉 立也金子 弘真吉野 正晃田村 晃土屋 勝柴 忠明今村 正成
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2000 年 25 巻 6 号 p. 919-922

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抄録
咳漱を契機に発症した特発性腹直筋血腫の1例を経験したので報告する。症例は63歳, 重度肥満の女性。既往歴は, 高血圧, 心房細動, 気管支喘息。感冒による咳漱を契機として突然左上腹部痛出現。腹部超音波, CTにて左腹直筋血腫と診断。腫瘤は徐々に増大し, 鎮痛剤にても痺痛改善認められず, 保存的療法は困難と判断し, 全身麻酔下に手術施行した。左腹直筋断裂および腹直筋血腫を認め, 血腫除去, 止血術施行した。術後経過は良好であった。非外傷性特発性腹直筋血腫は比較的稀な疾患で, 咳漱を契機に発症することが多い。しかし, 急激な発症と強い腹痛のため, 急性腹症, 腹腔内疾患との鑑別に難渋し, 開腹術に至る例も散見される。不必要な開腹手術を避ける上で, 本疾患も念頭におくべきであると考えられる。
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