日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
漏斗胸に対する胸腔鏡を用いたminimally invasive sternal elevation
大野 耕一井上 清俊西田 達竹内 敏吉田 達之中平 公士春本 研中岡 達雄塩川 智司木下 博明
著者情報
キーワード: 漏斗胸, 胸腔鏡, 胸骨挙上術
ジャーナル フリー

2001 年 26 巻 1 号 p. 80-85

詳細
抄録

漏斗胸に対して胸腔鏡下にsteel barを挿入するminimally invasive sternal elevation (本法) を試みた。この手技を詳細に述べるとともに, 従来の胸骨挙上術を行った35例 (従来群) と本法を行った5例 (胸腔鏡群) を比較した。従来群の年齢は1歳10カ月から16歳11カ月 (平均5歳5カ月) で男児31例, 女児4例であった。胸腔鏡群の年齢は7歳6カ月から17歳4カ月 (平均12歳8カ月) で全例男児であった。従来群は前胸部に皮膚切開をおき, 変形した肋軟骨を切除する胸骨挙上術である。これに対して本法は両側の中腋窩線上に横切開をおき, 弧状に形成したsteel barを胸骨背側に挿入し, barを180度回転させて胸骨を挙上する方法である。手術時間は従来群が316±54分, 胸腔鏡群は191±23分であり, 有意に胸腔鏡群で短かった。また出血量は従来群が88±75g, 胸腔鏡群は22±16gであり, 胸腔鏡群で減少した。漏斗胸患児の多くは美容上の理由で手術を希望するため, 手術の安全性と手術瘢痕を目立たなくする努力が必要である。この点本法は安全で, 侵襲が少なく, 美容上も優れており, 漏斗胸に対して有効な術式と考えられる。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top