日本外科系連合学会誌
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悪性狭窄と鑑別困難であった下行結腸潰瘍の1例
上原 秀一郎西田 茂安室 省吾加納 久雄柏尾 光彦福澤 正洋根本 則道
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2001 年 26 巻 1 号 p. 98-100

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抄録

術前診断において悪性狭窄と鑑別困難であった下行結腸潰瘍の1例を経験した。症例は77歳, 女性。便柱の狭小化と粘血便を主訴に当科を受診した。注腸造影検査にて下行結腸に約4cmにわたり全周性の狭窄を認めた。大腸内視鏡検査では肛門縁より35cmに全周性の狭窄を認め, 内腔は4mm程度でファイバーの通過は不可能であった。生検では悪性所見を認めなかったが, びまん浸潤性大腸癌を否定できず, 結腸左半切除術を施行した。病変では軟で境界明瞭な浅い潰瘍を伴っていた。病理組織学的には虚血に伴う潰瘍であった。自験例は症候性結腸狭窄があり手術適応であったが, 術前の画像診断で大腸癌を否定しえず手術となる症例も散見され, このような症例の存在も常に念頭に置く必要がある。

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