抄録
早期胃癌に対する縮小手術としての腹腔鏡補助下胃切除術の成績を検討し, 適応と限界について考察した。適応は中部または下部のM癌でEMRの適応外の症例を原則とし, リンパ節郭清はD1+No.7で行った。20例に幽門側胃切除 (LADG) を, 10例に幽門保存胃切除 (LAPPG) を施行し, 開腹D1郭清症例 (OG) 29例と比較した。手術時間, 出血量, リンパ節郭清個数ともに各群に差はなく, 術後の鎮痛剤使用頻度と在院日数はLADG群でOG群より少ない傾向があった。またLADG群, LAPPG群ともに重篤な合併症はみられなかった。術前深達度Mと診断した27例中, 2例はSM2でn1が1例あった。SM2と術前診断した2例はともにn1で小開腹D2に移行した。現時点ではリンパ節転移がみられた場合, 開腹D2に移行しているが, 郭清技術と術前診断能の向上によって本術式の適応は拡大しうると思われる。