日本外科系連合学会誌
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副腎の内視鏡下手術
到達法の選択と標準術式としての確立
中川 健村井 勝
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2001 年 26 巻 5 号 p. 1269-1273

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抄録

副腎腫瘍に対するminimally invasive therapyとして, 内視鏡下副腎摘除術が急速に普及し, 標準術式となりつつある。1992年より93症例の副腎腫瘍に対し, 経腹膜前方到達法 (56例) ならびに後腹膜後方到達法 (38例) による内視鏡下副腎摘除術を施行してきた。患者年齢は24歳~71歳 (平均47.2±12.3歳), 男性42例, 女性51例であった。患側は, 右39例, 左53例, 両側1例であった。87手術 (92.7%) で, 内視鏡下副腎摘除術を完遂でき, 手術時間は, 105分~383分 (平均205.0±66.5分) であった。鎮痛剤使用回数は平均1.2回, 経口摂取開始は平均1.6日であった。到達法による手術時間, 回復期間の差を認めなかったことから, 最少外套管数 (計3本) を優先し, 右側は後腹膜後方到達法, 左側は経腹膜前方到達法を現時点での第一選択術式とした。また, 褐色細胞腫に関しては, 血管処理の容易さから, 患側に関わらず, 経腹膜到達法が適当と考えられた。

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