日本外科系連合学会誌
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消化器外科術後surgical site infection (SSI) 発生の現状
天谷 公司二宮 致西村 元一能登 正浩木南 伸一伏田 幸夫藤村 隆谷 卓萱原 正都清水 康一太田 哲生三輪 晃一
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2002 年 27 巻 4 号 p. 636-640

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抄録

過去2年間の消化器外科手術615例を対象とし, surgical site infection (SSI) 発生率および分離菌を検討した。SSI発生率は全体で15.4%, 無菌手術0%, 準無菌手術16.4%, 汚染手術43.2%であり, 手術の汚染度が高度になるほど高率であった。手術臓器別のSSI発生率は多種多数の常在菌が存在する上下部消化管, 特に食道において高率であり, 分離菌種も常在菌を反映していた。分離菌を年代別に比較すると, 第1, 2世代セフェムを主に使用した時期に比べ, 第3世代セフェムを多用した時期ではグラム陽性球菌, 嫌気性菌, 真菌の分離頻度が高かった。SSI発生は常在細菌叢, 担癌状態, 侵襲の大きさ, 周術期に使用される抗菌薬の影響を受け, その予防には抗菌薬の使用に関して十分な配慮が必要であると考えられた。

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