(目的) m3/sm1食道癌に対する縮小治療を前提に, 従来の臨床病理学的項目に加え, 浸潤形態および粘膜下層浸潤距離 (sm浸潤距離) とリンパ節転移の関係を検討した。 (対象と方法) 術前治療なく根治切除されたm3癌32例, sm1癌33例を対象とした。浸潤形態は癌辺縁部の浸潤像からinvasive type (I型) とnon-invasive type (N-I型) に分類した。 (結果) m3癌の18.8%, sm1癌の24.2%にリンパ節転移を認めた。m3癌ではly (+) とI型にリンパ節転移が多かった。sm1癌ではI型はリンパ節転移の可能性が高く, N-I型においてはsm浸潤距離が小さい症例は転移がなかった。 (結語) m3癌ではly (-) のN-I型, sm1癌ではsm浸潤距離≦300μmであるN-I型はリンパ節転移がなく, EMRなど局所治療のみで完治できる可能性が高い。