日本外科系連合学会誌
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腹会陰式直腸切断術における大網充填術の有用性
三松 謙司大井田 尚継久保井 洋一川崎 篤史福澤 正洋
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2003 年 28 巻 2 号 p. 257-260

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抄録

腹会陰式直腸切断術後の会陰創〓開は,その処置のために入院期間の延長を余儀なくさせ,患者のQOLを低下させる。われわれは直腸切断術後に生じる骨盤内死腔に大網充填を行い,会陰創感染,創〓開を防止する方法を施行している。今回その有用性について大網充填群 (P群;6例) と非充填群 (N群;6例) に分け,臨床的に比較検討した。検討項目は,術後のドレーン排液量,術後のドレーン挿入期間,会陰創〓開率の3項目である。術後のドレーン排液量は,N群557±288ml,P群423±312mlで有意差は認められなかったが,P群で少ない傾向にあった。術後のドレーン挿入期間は,N群11.6±2.9日,P群6.8±2.4日とP群で有意に短かった。会陰創〓開率はN群50%,P群33.3%あった。われわれの行っている腹会陰式直腸切断術後の骨盤底への大網充填はドレーンの留置期間を有意に短縮させ,患者のQOLに貢献する有用な方法であると考えられた。

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