日本外科系連合学会誌
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鼠径部膀胱ヘルニアの例
佐藤 雅彦島田 長人久保田 伊哉鈴木 孝之中野 太郎高塚 純山田 英夫柴 忠明
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2004 年 29 巻 1 号 p. 104-107

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抄録

症例は45歳, 男性。左鼠径部に疼痛を伴う直径5cm大の腫瘤を認めた。腫瘤は仰臥位で消失せず, 立位でやや増大し, 腹圧をかけても大きさに変化はなく, また用手還納はできなかった。CTおよび超音波検査では膀胱の一部が脱出し腫瘤像を呈していた。鼠径部膀胱ヘルニアと診断し根治手術を施行した。ヘルニア門は下腹壁動静脈の内側に存在し, 腫瘤はさらに外鼠径輪から脱出し非還納性の状態であったが血行障害はなかった。明らかなヘルニア嚢を認めず, 膀胱壁および膀胱周囲脂肪織のみが滑脱する腹膜外型であった。切開は行わず腫瘤を腹膜側に還納し, PLOLENE(R) Hernia Systemを用い修復した。膀胱ヘルニアは術中の膀胱損傷や見落としによる再発を防ぐためにも画像検査による術前診断が重要である。

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