日本外科系連合学会誌
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咳嗽による膵十二指腸動脈瘤破裂に対し動脈塞栓術が奏効した1例
山田 高嗣渡辺 明彦吉岡 哲也山本 克彦石川 博文大山 孝雄新見 行人大石 元
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2004 年 29 巻 1 号 p. 99-103

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抄録

症例は59歳, 男性。1週間前から咳嗽が続いていたが, 激しい咳嗽の直後, 突然の心窩部痛と冷汗が出現し近医を受診。腹部CT検査で後腹膜血腫が疑われ当科紹介となる。来院時, 軽度の貧血を認めるものの意識は清明, 上腹部に径50mm大の圧痛を伴う腫瘤を触知した。造影CT検査で上腸間膜動脈根部周囲を中心に後腹膜腔に血腫が広がっており, 十二指腸および膵臓が腹側に圧排されていた。膵頭部領域の動脈瘤破裂を疑い, 直ちに血管造影検査を行った。上腸間膜動脈からの造影で後上膵十二指腸動脈に動脈瘤がみられたため, 同部位からの出血と考え経カテーテル動脈塞栓術 (TAE) を施行し止血した。後腹膜血腫の圧迫によると思われる十二指腸の通過障害が約3週間みられたが, 血腫の吸収に伴って軽快した。

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