日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
胃癌の予後におけるthymidine phosphorylase活性の意義
井上 暁梅北 信孝北村 正次
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 29 巻 1 号 p. 13-17

詳細
抄録

74例の胃癌手術症例を対象として胃癌組織のthymidine phosphorylase (以下TP) 活性をELISA法により測定し, 再発, 予後に対する関連性を検討した。TP値は腫瘍組織において有意に高く (p<0.0001), リンパ管侵襲の高度な症例において有意に高値を示した (p=0.0348) 。根治度A, Bの手術がなされ術後化学療法の施行されていない42例中, 再発した12例を再発形式別に比較すると, リンパ節再発例においてTP値は有意に高値であった (p=0.0485) 。Kaplan-Meier法による生存率の検定では, 分化型においてTP高値例で予後不良の傾向がみられた (p=0.0533) 。連続変数としてのTP値を用いて多変量解析を行うと, TP値は独立した予後因子であり (p=0.0261), 予後判定の指標になりうることが示唆された。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top