日本外科系連合学会誌
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胃・十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療
轟木 秀一宮下 薫藍澤 喜久雄齋藤 義之淺海 信也山口 和也
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2004 年 29 巻 1 号 p. 18-24

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抄録

当科では1998年以降, 胃・十二指腸潰瘍穿孔症例に対し適応を設定して保存的治療を行ってきた。今回, 適応の妥当性を検討するとともに保存的治療に関する問題点を考察した。対象は1990~2000年に胃・十二指腸潰瘍穿孔に対し治療を行った50例で胃切除群 (A群), 大網充填群 (B群) および保存的治療群 (C群) に分けて患者背景, 受診時の所見および治療開始後の経過について比較した。年齢や併存合併症などの患者背景, 発症から治療開始までの時間に有意差はみられなかった。C群で限局性腹膜炎を呈する症例が有意に多かった。治療開始後の合併症, 入院期間に差はみられず, C群より手術移行もなかった。横隔膜下膿瘍を形成した症例では白血球数の正常化が遅延した。適切な適応を設けて行えば保存的治療は良好な成績を得られることが示唆された。その際, 腹部理学所見の詳細な観察と白血球数の変化が経過の把握に重要と考えられた。

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