日本外科系連合学会誌
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原発性早期十二指腸癌の1例
過去5年間の手術例の検討
小澤 隆三室 昌弘北村 慶一遠藤 光史土田 明彦青木 達哉
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2004 年 29 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

症例は, 58歳女性, 心窩部不快感を主訴に来院。上部内視鏡検査にて十二指腸下行脚に隆起性病変を指摘されたが, 生検結果が腺腫であったため経過観察を患者が希望した。約1年後の内視鏡検査の再生検にて高分化型管状腺癌と診断された。超音波内視鏡検査にて深達度は粘膜層のみと判断したが, 腫瘍がVater乳頭部に近く広基性のため, 内視鏡的切除を断念し, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。高分化型管状腺癌を含む30×18mm大の腫瘍で, 深達度m, ly0, v0, n0であった。過去5年間の早期十二指腸癌の治療法を文献から検討すると, qualityof lifeや機能温存を重視し内視鏡的切除が多く行われている。しかし, 1) 深達度smまで達している症例, 2) 深達度mでも一部の陥凹型や操作困難な症例, 3) 特にVater乳頭部近傍や腫瘍径の大きな症例は幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を含む外科的切除の適応となる。

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