2005 年 30 巻 5 号 p. 738-743
肝転移, リンパ節転移を認めた十二指腸GISTの1例を経験したので本邦報告例の検討を加え報告する。[症例] 78歳女性。主訴, 貧血。2001年10月近医にて貧血を指摘。消化管出血の精査目的で入院となった。[検査] 上部消化管内視鏡にて十二指腸球部から下行脚に約半周性の潰瘍を伴う隆起性病変を認めた。胃十二指腸造影では十二指腸球部後壁側に陰影欠損を認め, 腹部血管造影では腫瘍部分に一致した濃染像がみられた。[手術] 十二指腸粘膜下腫瘍の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した。術後病理診断でリンパ節転移, 肝転移を認めた。[免疫・組織学的所見] 腫瘍はc-kit, CD-34は陽性, desmin, SMA, S-100は陰性。肝転移, リンパ節転移を認める悪性の十二指腸GIST uncommitted typeと診断した。また, 本症例を加えた十二指腸のGIST79例について検討した。