日本外科系連合学会誌
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直腸脱還納を契機に発症した直腸S状結腸部憩室穿孔性腹膜炎の1例
岡山 順司北東 大督丸山 博司
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キーワード: 直腸脱, 還納, 憩室穿孔
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2005 年 30 巻 5 号 p. 803-806

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抄録

症例は71歳, 男性。主訴肛門部痛, 腫瘤触知。現病歴平成16年12月中旬頃, 夕方より肛門部腫瘤を触知し, 還納を試みるが困難であった。翌日3時に強い肛門部痛を認めたため, 午前4時に当院救急外来受診。直腸脱と診断し還納を試みたが, 困難で, 緊急入院となった。午前9時に再度還納を試み, 施行可能であった。その後, 経過観察を行っていたところ午後1時頃より腹痛が出現し, 腹部CT検査を施行したところ, freeairを認めた。また, 直腸S状結腸と思われる大腸に憩室を多数認めた。憩室穿孔性腹膜炎と診断し, 同日緊急手術を施行した。腹膜翻転部より約10cm口側に穿孔部を認め, ハルトマン術を施行した。病理組織学的に固有筋層の断裂とリンパ球の浸潤を認めた。今回, 直腸脱に対し用手的還納処置を試みたが, これを契機に発症した憩室穿孔性腹膜炎を経験した。今後は還納の際の手技ならびに還納後の腹部症状に十分に注意する必要があると思われた。

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