日本外科系連合学会誌
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乳管内乳頭腫に対する乳管内視鏡の有用性
櫻井 健一榎本 克久天野 定雄松尾 定憲北島 晃根岸 七雄
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2005 年 30 巻 6 号 p. 821-824

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抄録

乳管内乳頭腫に対する乳管内視鏡の意義について検討した。分泌物の細胞診と乳管内視鏡下洗浄細胞診結果を比較したところ25%に相違がみられた。乳管内視鏡下に全切除を施行できた症例は12.5%, 部分切除を施行した症例は56.3%, 乳管内視鏡下に洗浄細胞診のみを施行した症例は31.3%であった。組織診や細胞診の結果から, 全身麻酔下に乳管区分切除術を施行した症例は3.1%であった。全切除, 部分切除を施行した症例のうち, 主乳管または第1次分枝に腫瘍が存在した症例は72.7%, 第2次分枝以降では36.3%であった。全切除, 部分切除を施行した症例のうち, 乳頭異常分泌が改善した症例は90.9%であり, 経過観察中に分泌が再燃した症例は9.0%であった。局所麻酔による日帰り検査ができること, 低侵襲で十分な量の病理検体が得られること, 異常分泌の症状が改善すること, 経過観察中に繰り返し再検, 再切除が可能であることから, 乳管内乳頭腫に対して有用な方法であると考えられた。

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