日本外科系連合学会誌
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小児急性虫垂炎における保存的治療適応基準の効果
長江 逸郎土田 明彦田辺 好英高橋 総司湊 進太朗小柳 泰久青木 達哉
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キーワード: 急性虫垂炎, 小児
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2005 年 30 巻 6 号 p. 825-830

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抄録

当科では1986年~1991年の間に治療した15歳以下の小児急性虫垂炎の臨床的特徴を拾い上げ, (1) 明確な右下腹部の自発痛陽性 (2) 体温37.5度以下 (3) 白血球数10,000/mm3未満 (4) McBurney圧痛点陽性, の条件を満たす場合はカタル性虫垂炎の可能性が高いとし保存的治療の対象と設定した。さらに, 超音波検査を併用することにより, 保存的治療の対象を白血球数10,000/mm3以上, Blumberg徴候陽性の条件でも保存的治療の適応であるかどうかを判断する試みを行ってきた。これらの診断は初診医 (主に研修医) にその所見を所定の記載用紙に記載することを義務づけることとした。1986年~1991年 (前期) 基準設定以前に当科で扱った小児急性虫垂炎症例は150例であり, 1991年~2004年 (後期) では264例の症例を対象とした。対象をカタル性, 蜂窩織炎性, 壊疽性虫垂炎に分けて検討を行ったところ, 前期手術症例136例のうち57例 (41.9%) はカタル性以下であったのに対し, 後期手術症例では197例中27例 (13.7%) と減少した。これは, 保存的基準設定さらにUSによる診断効果が得られたことが判断される。

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