日本外科系連合学会誌
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腹膜透析患者における腹腔鏡所見
特に被嚢性腹膜硬化症の病態
野中 英臣奥澤 淳司笠巻 伸二坂本 一博井尾 浩章福井 光峰濱田 千江子富野 康日己鎌野 俊紀
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2005 年 30 巻 6 号 p. 841-846

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抄録

目的 : 腹膜透析に伴う腹膜の変化を腹腔鏡を用いて肉眼的に観察, 検討した。さらに被嚢性腹膜硬化症 (encapsulating peritoneal sclerosis, 以下EPS) の病態について臨床病理学的に検討した。対象 : 1996年から2005年までに腹腔鏡下に腹膜透析カテーテル抜去を施行した32例を対象とした。方法 : 腹膜透析カテーテルを抜去時に観察した腹腔鏡所見をもとに, 臨床病理学的所見と腹膜病理所見について検討した。結果 : 腹腔鏡所見でEPSと診断されたのは32例中4例 (12.5%) であった (EPS群) 。EPS群とNEPS群 (EPSと診断されなかった28例) の間に腹膜透析歴, 腹部CT検査で腸管漿膜の石灰化, 腹腔鏡所見で腸管の肥厚・癒着, 腹膜病理所見で硝子化に有意な差が認められた。結語 : 腹腔鏡を用いることは腹膜透析による腹膜の変化を肉眼的に確認することができ, EPSの病態検討に有用であった。

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