日本外科系連合学会誌
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原発性副甲状腺機能亢進症の術式選択における術中迅速病理診断の有用性
榎本 拓茂林 京子梶田 咲美乃仙石 紀彦半田 喜美也越田 佳朋蔵並 勝渡邊 昌彦
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2006 年 31 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
原発性副甲状腺機能亢進症の術式選択における術中迅速病理診断の有用性を明らかにすることを目的とし臨床病理学的に検討した。対象は当科で手術治療を施行した37例である。男性7例, 女性30例で平均年齢は58.7歳 (27~79歳) であった。術前の局在診断には, MIBIシンチグラフィ (有所見率100%) および超音波 (同97.3%) が有用であった。病理組織診断では, 腺腫 : 30例 (81%), 過形成 : 5例 (14%), 癌 : 2例 (5%) であった。血液生化学検査の検討では, 血清カルシウム値が腺腫よりも癌で有意に高値 (p=0.007) であった。術式の選択は術中迅速病理診断で決定し, 腺腫には単腺摘除, 過形成には全腺摘除と自家移植を行った。癌に対しては腫瘍とともに甲状腺一葉切除と周囲結合織を含めた傍気管リンパ節郭清を行った。術後再発は2例に認め, 組織型は過形成と異時性の2腺腺腫であった。術中迅速病理診断と術後の永久病理組織診断の結果は全例一致した。腺腫と過形成ではその術式が異なり, 術式の選択を誤ると術後再発の危険性がある。的確な術式の決定には臨床所見とともに術中迅速病理診断が必須であろう。
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