日本外科系連合学会誌
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縦隔悪性胚細胞性腫瘍に対する術前放射線同時併用化学療法の検討
粉川 庸三尾浦 正二平井 一成吉増 達也岡村 吉隆山本 修司金子 政弘木下 貴裕
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2006 年 31 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
縦隔悪性胚細胞性腫瘍は極めて予後不良な疾患である。近年, 術前化学療法によって, 良好な結果が得られるようになったが未だ満足できるものとはいえない。当科では, 画像所見と腫瘍マーカーにて悪性胚細胞性腫瘍と診断し, 術前放射線同時併用化学療法 (CDDP (シスプラチン) 100mg/m2, VP-16 (エトポシド) 200mg/m2を2コース, 放射線照射60Gy) を施行後, 縦隔腫瘍切除術を行い, 術後に同一レジメンの化学療法を2コース追加する方針で治療を行っている。以上のプロトコールに準じて治療を行った3症例においては, 全症例でviable cellは認められず, 組織学的完全効果が得られた。副作用もG-CSF (granulocyte-colony stimulating factor) 製剤や制吐剤で対応可能であり, 縦隔悪性胚細胞性腫瘍に対する術前放射線同時併用化学療法は有望な治療選択肢になりうる可能性が示唆された。
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