日本外科系連合学会誌
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一期的に切除した肝門部胆管癌と進行胃癌の高齢者同時性重複癌の1例
宮地 智洋内藤 広郎
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キーワード: 胆管癌, 胃癌, 重複癌
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2006 年 31 巻 4 号 p. 748-752

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抄録
[症例] 75歳, 男性。上腹部痛を主訴に近医を受診し, 急性腹症の診断で当院へ搬送された。来院時CTおよび血液検査で総胆管結石による急性膵炎を疑い入院した。[入院後経過] 入院後の精査で左肝門部胆管癌と進行胃癌の重複癌が認められた。入院後に発作性心房細動, 一過性右下全麻痺を伴う脳梗塞を発症した。高齢で, 閉塞性呼吸障害もみられたことから, ハイリスク症例と判断されたが充分なインフォームドコンセントの上, 肝左葉・尾状葉切除術および胃全摘術を一期的に行った。出血量は812g, 手術時間は632分であった。術後, 右不全片麻痺や呼吸不全が出現し, 一過性の心肺停止に陥るなど術後管理に難渋したがいずれも軽快し, 術後第61病日で元気に退院した。[結語] 肝門部胆管癌と進行期胃癌を合併した高齢者重複癌に対し, 一期的切除術を施行した。このような症例の治療法については, 一定の見解はなく, 今後, 同様の症例の蓄積, 検討が必要である。
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