日本外科系連合学会誌
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腹腔鏡視下手術中に偶然発見された小腸, 大腸同時性重複癌の1例
小林 照忠田中 洋一
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2006 年 31 巻 4 号 p. 753-756

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抄録
症例は41歳, 男性。健診の便潜血検査が陽性のため前医で注腸造影検査を受け, S状結腸ポリープを指摘, 当センターを紹介された。大腸内視鏡検査でS状結腸癌と診断し, 腹腔鏡視下大腸切除術を開始したが, 空腸内に腫瘍性病変の存在が疑われたため, 開腹術へ変更した。Treitz靱帯近傍に腫瘍を認め, 空腸切除・S状結腸切除術, リンパ節郭清を行った。切除標本では空腸に浸潤潰瘍型の腫瘍を認め, 病理組織学的には中分化腺癌で, 漿膜下層に達しており, 脈管侵襲陽性, リンパ節転移陰性であった。S状結腸癌は, 中分化腺癌, sm1, ly0, v0, n0, stage Iであった。術後20日目に退院し, 3年後の現在, 再発の兆候なく生存中である。腹腔鏡視下手術に際しては, 十分な腹腔内の観察と, 必要時には躊躇することなく開腹術へ変更することが重要と考えられた。
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