日本外科系連合学会誌
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S-1/CDDP併用療法が著効した胃癌肝・リンパ節転移の1例
権田 剛岡田 典倫安藤 浩石田 秀行
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キーワード: 胃癌
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2006 年 31 巻 6 号 p. 941-945

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抄録

症例は69歳の男性。胃癌LM, type2, cT2以深, cN2, cH1, cP0, cM0, cStage IVと診断。生検では低分化腺癌であった。根治切除不能と判断し, S-1 80mg/m2/dayを3週連続投与2週休薬, 第8日目にcisplatinum (以下CDDP) 60mg/m2/day投与する化学療法を計7コース施行した。腹部CT検査上, 肝転移巣とリンパ節ともに消失し, 内視鏡検査でも2型腫瘤は消失しており, 生検でも癌細胞は確認できなかった。有害事象は7コース目にGrade 2の食欲不振が出現したのみであった。4コース終了後RECISTガイドライン上CRと判定し, 患者に切除術を勧めたが, 患者の同意が得られなかったため施行しないこととした。CR後約1年4カ月経過しているが, 再発兆候はみられていない。化学療法が著効した場合, その後手術を施行するか否かは明確なコンセンサスは得られていないが, 進行胃癌に対するS-1/CDDP併用療法は手術を施行せず, 治癒せしめる可能性があると考えられる。この点興味深い症例と考えられたので, 文献的考察を加えて報告する。

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