2023 年 31 巻 1 号 p. 137-144
棘下筋は解剖学的に横走線維と斜走線維に分けられ,各線維における機能は異なるとされる.本研究は,肩関節肢位の違いによる外転運動および外旋運動時の等尺性収縮における棘下筋の各線維の活動について,表面筋電図を用いて確認した.横走線維について,肩関節外転運動時では外転角度が大きく,かつ内旋位で活動が低下した.外旋運動時では外転角度が大きい肢位で活動が低下した.斜走線維は,肩関節外旋運動時において,肩関節外転角度が大きい肢位で棘下筋全体(横走線維+斜走線維)に対する斜走線維の活動比率が上昇した.肩甲帯周囲の機能評価やエクササイズを実施する際には,各線維の機能を考慮する必要があることが示唆された.