2023 年 31 巻 1 号 p. 63-67
(背景)腰椎分離症と骨盤前傾との関連が指摘されており,リハビリテーション(以下,リハビリ)では腰椎アライメント修正も行っている.新鮮腰椎分離症におけるリハビリ介入による腰椎および骨盤のアライメント変化への影響を検討した.(対象および方法)MRI で新鮮腰椎分離症所見を認めた小学生から高校生のうち,初回診察日および腰痛消失後にX 線にて立位腰椎側面像を撮像した者76 名を対象とした.再評価までに1 か月以上のリハビリ介入が行われていた例をリハビリ群,その他を対照群とした.lumbar lordosis(LL),sacral slope(SS)を計測し,二群間で比較した.(結果)数値をリハビリ群,対照群の順に示す.LL に関して初期評価時では,48±10̊,51±11(̊p=0.172)と有意な差がないものの,再評価時では49±9̊,54±10̊(p=0.007)と有意な差を認めた.SS に関しても初期評価時では37±7̊,38±10̊(p=0.180)と有意な差がないものの,再評価時では36±7̊,41±10̊(p=0.008)と有意な差を認めた.(考察)新鮮腰椎分離症に対してリハビリが行われないと,腰痛消失後には初期よりも腰椎前弯と骨盤前傾が増大していた.下肢筋タイトネスの改善や体幹筋トレーニングを含めたリハビリ介入により腰椎のアライメント改善効果が得られる可能性が示唆された.