日本臨床スポーツ医学会誌
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Print ISSN : 1346-4159
バレエダンサーの立位および体幹後屈時における腰椎前弯角,仙骨傾斜角の検討
海野 絵里香阿蘇 卓也田村 将希野口 悠松永 勇紀池田 崇三邉 武幸西中 直也
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2024 年 32 巻 1 号 p. 106-112

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抄録

クラシックバレエ(以下,バレエ)では過剰な体幹後屈動作を要することから伸展型腰痛が多い.伸展型腰痛の要因には腰椎前弯角および仙骨傾斜角の増大があるが,バレエダンサーの体幹後屈時の腰部運動については不明な点が多い.バレエダンサーの腰椎および仙骨運動の特性を把握できれば,バレエにおける腰部障害の要因を明らかにできる可能性がある.そこで本研究の目的はバレエダンサーの体幹後屈時における腰椎前弯角および仙骨傾斜角を検討することとした.対象は健常女性バレエダンサー13名(以下,バレエ群)とバレエ未経験女性15 名とした(以下,未経験群).静止立位と体幹最大後屈位における腰椎前弯角および仙骨傾斜角を単純X 線腰椎側面画像から測定した.さらに,静止立位と体幹最大後屈位における差(腰椎前弯角変化量,仙骨角変化量)を算出し,2 群間で比較を行った.バレエ群の腰椎前弯角は静止立位で低値である一方,体幹最大後屈位では差はなかった.また,腰椎前弯角変化量はバレエ群で高値を示した.仙骨傾斜角は静止立位および体幹最大後屈位の両姿位では2 群間に差はなかったが,仙骨傾斜角変化量はバレエ群で低値を示した.つまり,バレエダンサーは体幹後屈時に仙骨運動が少ない中で腰椎を伸展させていると考えられる.以上より,静止立位から体幹最大後屈位かけての腰椎前弯の変化量が大きいことはバレエダンサーの腰椎および仙骨運動の特徴である可能性がある.

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© 2024 一般社団法人日本臨床スポーツ医学会
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