日本臨床スポーツ医学会誌
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Print ISSN : 1346-4159
女子プロ野球選手におけるステップ脚の関節角度と球速の関係
橋本 留緒松井 知之東 善一平本 真知子宮崎 哲哉山本 ちさと山﨑 勢那松澤 寛大瀬尾 和弥来田 宣幸森原 徹
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2024 年 32 巻 1 号 p. 113-119

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抄録

投球動作におけるステップ脚の機能は,軸脚によって得られた身体重心の移動を支えることで ある.しかし,女子野球選手の投球動作について下肢に着目した研究は見当たらない.本研究の目的は女子野球選手の投球動作におけるステップ脚の関節角度と球速の関係を明らかにすることとした.女子プロ野球選手の投球動作を三次元動作解析装置で計測した.関節角度の計算として,ステップ脚接地(以下FC)からフォロースルーまでのステップ脚股関節屈曲伸展,股関節内転外転,膝関節屈曲伸展,足関節底屈背屈角度を算出した.またスピードガンを用いて球速を計測した.各関節角度の規格化時間1% ごとの関節角度と,FC から最大値までの変化量について,球速との関係を検討した.

股関節屈曲角度は解析区間の0~52%,58~100%で有意な正の相関があり,股関節内転角度と球速は,解析区間の75~100%において有意な正の相関があった.膝関節屈曲変化量と負の相関があった.足関節底屈角度は解析区間の14~49%の区間で球速と正の相関があった.球速の速い男子選手では,FC 以降にステップ脚の膝関節屈曲角度を保持する.球速の速い女子選手ではFC 以降に足関節を底屈位で保持し,下腿前傾を抑えることで膝関節屈曲変化量を減少させていた.

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