2024 年 32 巻 1 号 p. 120-127
(目的)新鮮腰椎分離症患者において,身体後方要素の柔軟性評価テストであるPosterior Lumbar Flexibility test(PLF)を実施し,腰部の柔軟性評価としてのPLF の有用性を評価すること.
(方法)2019 年9 月から2022 年3 月までにMRI にて新鮮腰椎分離症と診断され,初回時と2 か月時に柔軟性評価を確認できた131 例を対象とした.PLF の初回時と2 か月時の陽性率を評価し,身体後方要素(腰部,ハムストリング)の評価テストであるFinger Floor Distance(FFD),Straight Leg Raisin(gSLR)の陽性率を評価し,その改善率を比較した.
(結果)初回時の陽性率は,PLF は69%,FFD は52%,SLR は67%であった.また,全評価テストの陽性率は初回時と比較し2 か月時で有意に低下していた(p<0.01).改善率はFFD,SLR と比較しPLF が有意に高かった(p<0.01).
(考察)PLF が陽性になる要因として,腰椎椎間関節の拘縮や多裂筋の短縮による伸張性の低下が考えられる.2 か月時の改善率はPLF で有意に高く,ハムストリングと比較して腰部はリハビリテーションにより柔軟性が改善しやすい部位と考えられた.
(結語)PLF は腰部単独の柔軟性を評価でき,新鮮腰椎分離症患者における陽性率はSLR と同程度に高かった.またリハビリテーションによる改善率も高く,介入による効果を評価しやすいと考える.そのため,腰椎分離症に対して実施する柔軟性評価テストとして有用性が高いと考えられた.