日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
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サッカー選手のgreater trochanteric pain syndrome の発症機転についての一考察
杉山 貴哉石川 徹也三宅 秀俊氷見 量
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2024 年 32 巻 1 号 p. 154-160

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抄録

Greater trochanteric pain syndrome のサッカー選手2 例を経験した.症例1 は右脚のキック動作を契機とした左軸脚の非外傷性による発症であり,症例2 はセービング時の左大転子部の打撲を契機としたが,右脚のロングキックにて左軸脚の疼痛が増悪しており,外傷性と非外傷性による発症であった.身体所見では2 例とも大転子部圧痛,股関節外転抵抗時痛,股関節内旋可動域制限,体幹筋力低下,Ober test 陽性が認められ,症例2 のみ中殿筋と股関節外旋筋の筋力低下が認められた.MRI STIR 画像では小殿筋腱や中殿筋腱内の高信号は認められず,大転子滑液包に高信号が認められた.本症例はキック動作の軸脚にて中殿筋や体幹の筋力低下により軸脚の骨盤が側方偏位し,腸脛靭帯は伸張され,その状態で股関節屈曲・伸展,内旋・外旋したことで大転子滑液包が大転子と腸脛靭帯間で摩擦され発症したと考えられた.

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