2024 年 32 巻 1 号 p. 29-34
足関節捻挫の治療やその再発予防のために使用されている薄型足関節捻挫用サポーターは足関節の底背屈可動域を制限する可能性がある.また,運動によりその制限は更に低下する可能性があるが,現時点ではこれらに関しては不明である.本研究の目的は,薄型足関節捻挫用サポーターの装着による足関節底屈および背屈可動域制限の有無および運動による影響の有無を検討することである.対象は,一般成人男性5 名,平均年齢は30.8±5.2 歳である.足関節背屈と底屈の自動および他動可動域を,それぞれ膝関節伸展位と屈曲位で裸足とサポーター装着下で計測した.運動課題は,カーフレイズ,フルスクワット,垂直ジャンプ,ランニングとし,サポーター装着下各運動課題後に同様の可動域を計測した.全ての条件で3 回計測し平均値を算出後,裸足とサポーター装着下,サポーター装着下での運動課題前後の可動域を対応のあるt 検定で統計学的に解析した.その結果,裸足とサポーター装着下では全ての計測項目で有意な変化はなかった.また,各運動課題前後においても全ての計測項目で有意な変化はなかった.本研究の結果,薄型足関節捻挫用サポーターは足関節の底屈および背屈可動域を制限しない可能性がある.