2024 年 32 巻 1 号 p. 40-45
本研究の目的は,上腕骨内側上顆下端部に異常所見を有する無症状の小学生野球選手のジャンプ距離と体格の特徴を明らかにすることである.対象は小学生野球選手85 名とした.評価項目は年齢,身長,体重,除脂肪体重,骨格筋量,ローレル指数,両脚前方ジャンプ,両側の片脚前方および側方ジャンプとし,ジャンプの測定値は身長で正規化した.また,肘関節の病変評価として肘内側部の超音波エコー検査を実施した.肘内側部の圧痛かつ肘痛がなく分離を認めた場合を異常群,肘痛も病変も認めない場合を健常群とした.統計学的解析は,2 群間の比較を対応のないt 検定を用いた.超音波エコー検査の結果,異常群は15 名,健常群は62 名であった.両側の片脚側方ジャンプ距離(身長で正規化)について,異常群は,健常群に比較して,有意に小さかった.異常群の年齢と体格は健常群と比較して,有意に大きかった.本研究結果において,上腕骨内側上顆下端部に異常所見を有する無症状の小学生野球選手は年齢と体格が高値であった一方,両側の片脚側方ジャンプ距離が低値であった.