日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
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児童・生徒におけるスポーツ障害が起きる成長フェーズでの男女の身体組成比較
清永 康平南 達也松田 貴雄
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2024 年 32 巻 1 号 p. 46-56

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抄録

(目的)男子のスポーツ障害では骨端線障害は身長が急激に増加する時期に多いとされ,成長フェーズ(phase)を用いて好発時期を分類している.一方,疲労骨折はphase との関連はわかっていない.男女のスポーツ障害の発生状況を体格・体組成測定の結果から検討した.

(方法)9 歳から18 歳の週5 日以上スポーツ活動を行う男子151 名,女子123 名の274 名を対象に成長記録からphase を同定し,体格・体組成測定を行った.生じたスポーツ障害306 例(男子166 例,女子140 例)の発生状況を検討した.

(結果)スポーツ障害は男子ではphase II で最も多く生じ,女子ではphase III とIV が大半を占めた.骨端線障害は男子でphase II が26 名と最も多く,発症者では身長,除脂肪体重が有意に低かった.女子では全体で8 名と発症は少なく,男女ともphase IV での発症はなかった.一方,疲労骨折は男女ともにphase III が20 名,18 名と最も多く,女子ではphase I での発症はなかった.

(考察)骨端線障害は運動量が増加する小学校高学年が男子では成長ピーク前にあたるため多く見られるが,女子では成長ピーク後にあたることが少ない理由と考えられた.また疲労骨折は女子ではBMIが低いことがリスクと考えられていたが,発症者の体格に劣った点はなかった.男子では骨格筋の増加が発症に寄与する可能性が示唆された.

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