日本臨床スポーツ医学会誌
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Print ISSN : 1346-4159
SingleLegHopforDistance における見積もり値と着地可否の関係:健常成人での検討
島本 大輔上池 浩一大西 慎太郎諸岡 孝俊吉矢 晋一
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2024 年 32 巻 1 号 p. 57-63

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抄録

(目的)Single leg hop for distance(SHD)はスポーツ外傷後の機能回復指標として用いられているが,認知神経学的な検討はなされていない.そこで,本研究の目的を自己評価によるSHD の見積もり値とパフォ―マンスの指標となる着地可否との関係を明らかにすることとした.(方法)健常成人63 名(男性35 名,女性28 名,年齢28.8±5.8 歳)を対象とした.SHD の実跳前に安定した着地が可能と被験者が想定する最大距離(見積もり値(%)=見積もり距離/身長)を測定した.その後に実跳を行わせ,着地の可否によって2 群に分類した.統計学的分析は,2 群間比較にマンホイットニーU 検定,着地可否の関連要因の抽出にロジスティック回帰分析,カットオフ値算出にROC 解析を用い,有意水準は5% とした.

(結果)着地不可群は,着地可能群と比較して見積もり値が有意に大きかった(74.4±16.8 vs 102.8±19.0,p<0.05).着地可否の関連要因として見積もり値が抽出され(オッズ比1.09,95% 信頼区間1.04-1.14,p<0.05),カットオフ値は87.1%(特異度0.77,感度0.90,曲線下面積:0.86,95% 信頼区間:0.77-0.96)となった.(考察)見積もり値は着地に影響し,見積もり値が身長比87.1% 以上となると,実際の動作との乖離が生じることが示唆された.

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