2024 年 32 巻 1 号 p. 85-90
(目的)ハムストリング肉離れのスポーツ復帰までの期間と復帰時の筋力,柔軟性について損傷型別に比較検討すること.
(方法)対象は2019 年10 月から2022 年3 月までに当院にてMRI でハムストリング肉離れと診断し,リハビリテーションを行いスポーツ復帰まで経過観察できた33 例である.JISS 分類にて筋線維型(I 型)と腱膜型(II 型)に分け,受診からスポーツ開始までの期間(スポーツ開始期間),受診からスポーツ復帰までの期間(スポーツ復帰期間),スポーツ開始時の等速性膝屈曲筋力(180̊/秒,60̊/秒),Straight Leg Rising(SLR),Active Knee Extension Test(AKET)を評価した.統計解析は,復帰期間,筋力,柔軟性項目をMann-Whitney のU 検定,Welch のT 検定を用い,有意水準は5%とした.
(結果)スポーツ開始期間,スポーツ復帰期間ともにI 型がII 型と比較し有意に短かった(p<0.05,p <0.01).スポーツ開始時の等速性膝屈曲筋力の患健比は180̊/秒,60̊/秒ともに両群間に有意差を認めなかった.SLR の健患差,AKET の健患差は両群間に有意差を認めなかった.
(結語)ハムストリング肉離れからのスポーツ復帰時において,復帰期間は損傷型により異なり,筋力・柔軟性は損傷型に関係なく改善していた.