2024 年 32 巻 3 号 p. 446-453
発育期野球選手のメディカルチェック(MC)の結果から,ポジション別の腰椎分離所見と身体特性の関連について検討した.対象者は12年間で258名であり,スポーツ推薦で高校硬式野球部に入部が決まっている中学3年生を対象とした.腰椎分離所見を有する選手(P群)とそれ以外の選手(N群)をポジション別で各MCにて比較検討した.全体でのP群とN群の各MC項目に有意差はみられなかった.ポジション別のP群とN群の各MC項目では,捕手の体脂肪率はP群20.2±4.0%,N群16.7±4.8%でP群が有意に体脂肪率は高く,捕手の全身関節弛緩性テスト(GJL)の合計点はP群2.3±1.3点,N群1.1±0.8点でP群が有意に点数は高かった.2 項ロジスティック回帰分析では,捕手の体脂肪率(p<0.05)とGJL(p<0.01)がP群の独立した因子として残った.捕手に関してP群はN群より,体脂肪率が高くGJLの点数も高いことが分かった.以上より,発育期野球選手のMCの結果から,捕手において身体特性と腰椎分離所見の関連が認められた.