2025 年 33 巻 1 号 p. 115-123
(目的)本研究は,バレーボールの両脚着地と片脚着地の実態と外傷・障害既往歴との関連性を明らかにすることを目的とした. (方法)大学男子1 部リーグに所属する1 チーム18名を対象に, 19試合68セットの試合動画を見て,着地動作をビデオ解析した.また,過去5年間における足関節捻挫とジャンパー膝既往の有無についてアンケート調査を実施した.検討項目として,全着地動作の①着地動作別,②ポジション別,③競技動作別,④セット数別,⑤足関節捻挫,ジャンパー膝既往歴の有無,における両脚着地と片脚着地の回数・割合を算出した. (結果)着地動作別では両脚着地と片脚着地間に有意な差は見られなかった.ポジション別ではセッターにおいて,両脚着地が片脚着地よりも有意に多かった.競技動作別では,ブロックがスパイクとサーブに比べ両脚着地が有意に多く,サーブに比べ合計着地回数が有意に多かった.また,クロスステップブロックが他のブロックに比べ合計着地回数が有意に多かった.セット数別では,第5セットが第2,第3セットに比べ両脚着地の回数が有意に低かった.足関節捻挫,ジャンパー膝既往歴の有無による各着地回数において既往歴の有無で有意な差は見られなかった. (結論)本研究において,足関節捻挫とジャンパー膝既往歴の有無による着地動作との関連性は見られなかったものの,ポジションや競技動作により,着地回数や両脚着地と片脚着地の特性に差異が見られた.今後より詳細かつ多様な障害との関連性を検討・調査が必要である.