抄録
成人期において肺動脈拡張(瘤)を認める症例は比較的希であり,併存心疾患,肺高血圧,血管炎,結合組織疾患の存在などを念頭におき精査を進める必要がある.肺動脈弁疾患を伴い,心機能改善を主目的として手術施行した2例の経験を報告する.症例1:54歳,女性.22歳時に肺動脈弁狭窄に対して交連切開術を受けていた.動悸を主訴に近医を受診し,精査で肺動脈拡張(60mm),肺動脈弁狭窄兼閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全,発作性心房細動,慢性右心不全を認めた.手術は肺動脈弁置換(23mm生体弁),肺動脈縫縮,三尖弁輪縫縮,右房縫縮,右房 MAZE 手術を施行した.症例2:70歳,男性.労作時呼吸困難を主訴に近医を受診した.肺動脈の拡張(45mm)を指摘され当科に紹介された.精査で肺動脈弁狭窄,心室性不整脈を認めた.手術は肺動脈弁交連切開術,肺動脈縫縮術を施行した.