抄録
本研究の目的は,長期臥床患者の拘縮手に対するハンドロールの汚染防止および防臭に与える効果を客観的に明らかにすることである.対象者は,65歳以上の拘縮手のある入院患者20名であった.拘縮手に手浴ケアを実施した後,3種類のハンドロールをそれぞれ3日間使用した.タオルをロール状にした通常のハンドロールの場合,指間部もカバーする指股付きハンドロールの場合,緑茶葉を入れたハンドロールの場合,ハンドロールを用いない場合の4条件で比較した.ハンドロールの汚染防止効果はATP拭き取り検査法,防臭効果はニオイセンサー法で評価した.通常および指股付きのハンドロールでは,使用開始から3日目の臭度に有意な低下がみられた.さらに指股付きハンドロールでは,臭度に加えて汚染度にも有意な低下がみられた.緑茶葉入りハンドロールの衛生効果については,本研究では効果がみられなかった.ニオイセンサー法では臭いの快 ・ 不快までは判別できないため,緑茶葉の効果が明確には得られなかったと考えられる.