日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔,左室瘤に左室形成術(SAVE 手術)を施行した1例
久田 洋一迫 史朗泉 賢太江石 清行
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2008 年 37 巻 3 号 p. 197-200

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抄録
症例は71歳,男性.左前下行枝(#7)閉塞による急性心筋梗塞を発症した.心臓超音波検査および心臓カテーテル検査により心室中隔穿孔 (VSP) と前壁中隔領域に広範な左室瘤を認めた.発症7週目に手術を施行した.手術は体外循環確立後,心停止下に左前下行枝の左側で左室瘤を縦切開した.左室瘤および VSP 部を exclusion するように長楕円形のウマ心膜パッチを用いた SAVE (septal anterior ventricular exclusion) 手術を施行した. VSP は心筋梗塞発症後7週目であり周囲組織は比較的強固であったことと,同部はウマ心膜パッチで exclusion することから直接縫合閉鎖した.同時に CABG (LITA-LAD) も施行した.術後左室造影において遺残シャントを認めず良好な左室形態および左室機能が保持できた.左室瘤を伴う VSP に対して,本法は梗塞部および VSP 部も exclusion し,かつ左室形態を改善させる有用な術式と考えられた.
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