抄録
症例は76歳,女性.後腹膜脂肪肉腫およびその再発のため手術5回と化学療法を施行した既往を有し,そのフォロー中に MRI 検査で心尖部に異常影を認め,右心室造影検査で右心室瘤と診断した.手術は胸骨正中切開によりアプローチし,瘤は小指頭大で心嚢膜との癒着は認めなかった.瘤を取り囲むように右室心筋全層を巾着縫合し,瘤を切開して血液漏出のないことを確認して同切開部位を縫合閉鎖した.採取した瘤壁の病理組織診断では心筋成分は認めず,心外膜下心室瘤と診断した.術後は良好に経過し,術後15日目に退院した.