日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
抗生剤治療にて軽快した胸部下行大動脈瘤術後人工血管感染の1例
山名 孝治澤崎 優泊 史朗
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2009 年 38 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

症例は69歳女性.胸部下行大動脈瘤切迫破裂にて準緊急手術で,胸部下行人工血管置換術を行った.手術後8日目から発熱し,抗生物質の投与を開始したが,術後20日目より掻痒を伴う発疹が発熱とともに生じ,薬剤アレルギーが原因と思われたため抗生物質をすべて中止した.発熱を繰り返したが徐々に軽快し,術後98日目に退院となったが,術後5カ月目に発熱にて再入院となった.CT,ガリウムシンチにて人工血管感染を疑う像であり,血液培養にてStaphylococcus epidermidisが陽性であったため,抗生剤の投与を再開し,手術を行わず保存的に治療を行った.その後発熱は治まり,現在術後14カ月を経過し感染の再燃を認めていない.人工血管感染で抗生剤治療のみで治癒した稀な症例を経験し,文献的考察を加えて報告する.

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