日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
感染性心内膜炎に対する僧帽弁置換術後に潰瘍性大腸炎を併発した1例
小池 則匡金子 達夫江連 雅彦佐藤 泰史長谷川 豊岡田 修一滝原 瞳竹吉 泉
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2009 年 38 巻 5 号 p. 327-331

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抄録
症例は59歳女性.感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症のため僧帽弁置換術を行った.手術後6日目に突然下血がみられた.内視鏡で肛門から5~10 cmの部位に多量の凝血塊とともに直腸粘膜の糜爛/潰瘍が認められた.抗凝固療法として投与していたワーファリンを直ちに中止した.下血後2日目,ヘパリンを開始した.下血後8日目の内視鏡所見で肛門から10 cm付近まで連続性に続く全周性の出血性潰瘍病変がみられたため,潰瘍性大腸炎を疑いmesalazineを開始した.下血後14日目に行った大腸粘膜生検で潰瘍性大腸炎(直腸型)と診断し,betamethasone坐薬も追加した.その後の経過は良好で術後第36病日前医に転院した.僧帽弁閉鎖不全を伴う感染性心内膜炎に対して僧帽弁置換術を施行した6日後に,出血性直腸潰瘍を呈する潰瘍性大腸炎を併発した稀な1例を経験したので報告する.
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