抄録
症例は22歳女性.10年前に基部大動脈瘤に対してRoss手術を施行されていた.外来フォロー中に自家肺動脈の拡張を認め,それによる圧迫のために右室流出路再建に使用されたexpanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)3弁付人工血管の圧較差(25 mmHg)が認められた.手術は機械弁を用いたBentall手術および右室流出路再建にはePTFE3弁付人工血管の再置換術を施行した.現在,術後経過は良好である.Ross手術は多くの報告で有用性が認められているが,自家肺動脈の拡張,大動脈弁閉鎖不全などが長期的には問題視される.本症例は22歳とまだ若年であり,機械弁およびePTFE 3弁付人工血管の長期的なフォローを必要とする.