抄録
症例は65歳,男性.23年前,他院にて急性B型解離偽腔拡大に対し,左側方開胸アプローチでエントリー閉鎖術,偽腔縫縮術を受けた.10年前,他院にて胸腹部解離性大動脈瘤破裂に対し緊急胸腹部人工血管置換術を受け,術後不全対麻痺を併発した.今回,遠位弓部から下行大動脈の残存解離の偽腔拡大を認めた.過去2度の開胸手術歴があるため左開胸アプローチでの手術は人工心肺時間の延長,出血量の増加などriskが高いと判断し,胸骨正中切開アプローチで末梢側にopen stent法を用いた上行弓部下行大動脈人工血管置換術を施行し良好な結果を得た.Open stent法は胸骨正中アプローチで一期的に上行,弓部,下行置換術を施行することが可能であるため,本症例のように開胸歴があり肺の癒着が予想される症例には特に有用であると考えられる.