抄録
症例は69歳男性,胸痛を主訴に前医へ救急搬送され,造影CT検査にてStanford A型急性大動脈解離の偽腔閉塞型と診断された.心タンポナーデと中等度の大動脈弁閉鎖不全を合併し,ショック状態であったので緊急手術の適応と考え,当院へ搬送された.同日緊急手術を施行し,上行大動脈基部に内膜の亀裂を認め,外膜下血腫を伴っていた.明らかな大動脈の解離を認めなかったことから,特発性大動脈破裂と診断した.亀裂部は直接縫合し,大動脈弁交連は大動脈壁に再固定した.上行大動脈壁は菲薄化し,拡大を認めたので上行大動脈人工血管置換術も施行した.術後経過は良好で術後12日目に退院した.非常に稀な特発性大動脈破裂を経験したので報告する.