日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告
破裂性胸腹部大動脈瘤に対し celiac axis を閉鎖して landing zone を確保したステントグラフト単独治療の1例
八丸 剛渡辺 正純川口 悟中原 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 39 巻 2 号 p. 69-73

詳細
抄録

症例は73歳,女性.胸腹部大動脈瘤破裂で前医より緊急搬送された.CTで腹腔動脈分岐部直上に最大径70 mmのsaccular typeの大動脈瘤とその周囲の血腫を認めた.上腸間膜動脈(SMA)の選択的造影で膵アーケードを介した腹腔動脈(CA)分枝の良好な血流を確認したうえで,SMAを温存するようにCA開口部(celiac axis)を閉鎖し末梢側landing zoneを確保してステントグラフト(SG)を留置した.術後CTでエンドリークはなく,CA分枝がSMAからの側副血行を介して開存していることを確認した.術後は,腹部臓器障害や対麻痺もなく,第36病日に独歩退院した.術後6カ月のCTも問題なく,外来通院中である.本症例のようなSG治療による低侵襲化は,破裂性胸腹部大動脈瘤治療の重要な選択肢になりうると考えられる.

著者関連情報
© 2010 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top