2011 年 40 巻 1 号 p. 22-26
慢性解離性大動脈瘤の64歳男性.術前検査では,解離した下行大動脈の真腔が腹部大動脈で完全閉塞する特異な形態で,腸管および下肢には豊富な側副血行路が形成されていた.本例に対し,第1期手術として,大動脈から大腿動脈(asAo-FA)へbypassを設置した後,上行-弓部大動脈置換+Elephant trunk法を行い,第2期手術として下行大動脈再建を施行し,合併症もなく良好な結果を得た.本症例の特殊性を考慮した術式の選択,治療方針について若干の文献的考察を加えて報告する.